1.等差数列
むかしむかし西ドイツにガウス少年という人がいました。ガウス少年が小学生のとき、(9歳のときといわれているので、小学3年生ぐらいでしょうか)、ある先生が算数の授業のときに次のような宿題を出しました。
「1、2、3…と自然数を100まで足していくとその和はいくつになるか」
先生は解くのに1時間はかかるだろうと思って出した問題でしたが、わずか数十秒後、ガウス少年は先生に答えました。
「先生、5050です。」と
あまりの早さに周りの生徒たちはおろか先生もびっくりです。
さて、これほどまでにはやく答えを求めることが出来たガウス少年はどのように計算をしたのでしょうか。このガウス少年の方法を学ぶのが等差数列の和の考え方です。
それでは、まず等差数列の定義から見ていきましょう。
ひとつの数から始まり、次々と同じ数を足していくという作業を繰り返すことで得られる数列を等差数列という。 定義 |
1,2,3,…100という数列や2,4,6,8,…100のように同じ数ずつ増えていくような数列を等差数列というわけです。そしてその数列の最初の数のことを初項(主にa1で表される)、増える数のことを公差(主にdで表されます)というわけです。またn番目の項を第n項といいます。
初項が1、公差が3だとすると定義から第2項目は1+3=4になります。以下同じようにして1+3×2,1+3×4,…となります。
このとき、以下の定理が成り立ちます。
定理 初項 一般項
第n項は 和 初項からn項までの和 = |
こういった定理を見ると、分かりづらいとか、覚えられないと思うかもしれませんが、それぞれ意味を考えれば容易に導くことが出来ます。
一般項とは、数列において第n項をnの関数で表すとき、このnの関数を数列の一般項といいます。ここで、☆の表していることはn=1のとき(初項)は公差の影響を受けないので、(第1項)=(初項)となり、以下これに公差を足していけばよいので、(第2項)=(初項)+(公差)、(第三項)=(初項)+(公差)×2、…となる、ということです。
さあ、ここでやっとこの章の始めに書いたガウス少年の方法の話になります。
ガウス少年はこう考えました。
1+ 2+ 3+ 4+ 5+…+98+99+100=? としたとき、その和を逆さに書いてみる
100+99+98+ 97+96+…+ 3+ 2+ 1 =?
ここで何か気づきませんか?
2つの式の縦のならびに注目すると、右から1と100、2と99、3と98と続き、最後に100と1があります。ここで、この2つの数字を足すとすべて101になります。ガウス少年はこの性質に着目したのです。
いま101となる組が100個あるので、101×100。そしてこれは?2つ分の和になってしまうので、2で割る必要があるわけです。そこで101×100÷2=101×50=5050として和が求められます。
また、一般に等差数列であればどんなものでもこの方法を使って和を求めることが出来ます。それを表したのが★です。
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